抄録
地殻に存在する水流体は、液体から超臨界状態にあり、その物性は地殻の電気伝導度・地震波速度・鉱物の溶解度と大きな関連があり重要である。本研究では、超臨界状態にあるNaCl水溶液の構造と物性を、古典分子動力学(MD)計算から明らかにし、密度・体積弾性率・誘電率・電気伝導度を原子スケールから理解することを目的とした。計算は温度573 K < T < 2000 K, 圧力0.1 GPa < p < 2 GPa, 塩濃度 0.6 wt% < c < 1.8 wt%の範囲で実施した。この領域における超臨界流体の物性の変化を、動径分布関数や配位数などの原子スケールの構造から考察する。