下部地殻と上部マントルの強度比を決定することは地球型惑星のテクトニクスを議論する上で重要な鍵になる。地殻とマントルの強度比を直接決定するために固体圧式変形装置で、斜長石とかんらん石を用いた2相系の変形実験を行った。実験条件は圧力2GPa、温度600–1000℃、乾燥条件で行われた。さらに実験結果を用いて数値計算を行い、金星表面のテクトニクスを考察した。全ての実験条件でオリビンの方が大きい強度を持つことがわかった。これはpower-lawから予想される結果とは異なり、低温ではPeierlsメカニズムが支配的になっていることが示唆される。実験結果から金星内部のレオロジー構造を推察すると、下部地殻と上部マントルの強度比が大きく、デカップリングを起こす可能性が考えられ、数値計算からは地殻とマントルの強度差が大きくなればなるほど、モホにおいて地殻の移動速度は抑制されることがわかった。