抄録
CV,CO隕石は,dark clast (DC)と呼ばれる暗色の石質岩片を一般に含む。DCの成因については,星雲中説と,母天体説が提唱され,議論が続いている。我々はDCの母天体成因説を検証することを目的として,Allende隕石中の2つのDCについてSEM-EDS, EPMA-WDS, (S)TEM-EDSによる観察・分析を行った。観察したDCは, 全体の90%以上が細粒(<10 μm)のFe-rich olivineからなり,このolivineは20−200 nmのpentlanditeを包有している。Olivineとpentlanditeには凝縮温度の差があり、このような組織が星雲からの凝縮で形成するとは考え難い。また,DC中にはcalciteをはじめとする水熱変成鉱物からなる仮像が存在した。これらの鉱物の存在は、Allende隕石中のDCが水熱変成を受けたことを示す強い証拠と言える。