日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2014年年会
選択された号の論文の243件中1~50を表示しています
S1:火成作用と流体
S2:岩石—水相互作用(共催:資源地質学会)
  • 藤本 光一郎
    セッションID: S2-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    鹿園直建慶應義塾大学名誉教授が,2014年4月22日に逝去された.享年67歳であった.鹿園先生の研究領域は学生時代の熱水鉱床から発展して地下水汚染や二酸化炭素地下貯蔵,放射性廃棄物,グローバル物質循環など多岐に渡り,それぞれの分野で重要な業績をあげられた.その中で固体相だけでなく流体相も重視する,巨視的な現象を扱う中で微視的な素過程を大切にするという学風は終始一貫されていた.先生の40年を超える研究の歩みは,水岩石相互作用の研究が日本に定着し,盛んになってきた歩みと重なる.本講演では,鹿園先生の研究の歩みを水岩石相互作用の研究の流れの中で振り返る.
  • 中田 正隆, 小室 光世
    セッションID: S2-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    学院在籍中から助手時代には,熱水性鉱床の記載研究,当時盛んだった化学平衡論に基づいた計算による鉱化溶液の化学組成や形成環境の推定の研究を主なテーマとされた. 助手時代中頃には,ハーバード大学のHolland教授のもとにご留学され,主に硫酸塩鉱物の平衡実験と化学平衡論に基づいた計算による各鉱床の形成環境の研究をなされた. 東京大学に戻られた後は,浅熱水性金鉱床中のエレクトラムなど構成鉱物の化学組成とそれに基づく形成環境の推定の研究をなされた. これらの研究の集大成は,鉱山地質特別号の論文とエルゼビアの教科書としてまとめられている.
  • 竹野 直人
    セッションID: S2-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    反応-流動系数値シミュレーションは地下水と地層の反応にかかる議論では欠かすことのできない手法となっている。岩石と反応する水の水質や岩石の鉱物組成、化学組成の変化を定量的に扱うツールであり、空隙率や透水性の変化を扱うこともある。水を介したエネルギーや物の移動を対象とすることから、その適用分野は地熱(熱の輸送)、鉱床(有用元素の濃集)、環境(有害元素の拡散)など多岐にわたる。この手法が利用されるようになった背景にはそのためのさまざまな環境が整ってきたことがある。それについて振り返りつつこれからの課題について考察する。
  • 武内 浩一
    セッションID: S2-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    陶石鉱床の成因を考える上で,変質作用を引き起こした熱水溶液の性質を知ることは最も重要であるが,均質化温度や塩濃度が測定できるような流体包有物はまだ報告されていない。天草陶石の成因や生成過程を考える上での重要な特徴として以下が挙げられる.炭酸塩鉱物,特に菱鉄鉱を含んでいること.各所に産する曹長石が,マグマの初成鉱物であるか,その変質鉱物であるか,あるいは熱水から晶出したものかが不明.周囲の堆積岩が熱水変質作用を被っているのかどうか.変質温度,pH,塩濃度,二酸化炭素分圧など,変質を引き起こした流体の物理化学的性質を明らかにして,長大な岩脈がまるごと陶石に変質するような鉱床生成過程を考察する.
  • 荒岡 大輔, 西尾 嘉朗, 高木 哲一, 渡辺 寧, 川幡 穂高
    セッションID: S2-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    塩湖(特にプラヤ)のかん水中では、乾燥気候下での蒸発・濃縮の繰り返しにより、高濃度のリチウム資源を形成していることが知られている。リチウムは質量数6と7の2つの安定同位体をもち、その相対質量数の大きさや水への溶解度の高さから、リチウム同位体比(δ7Li)は変質や風化といった水・岩石反応の指標として近年注目されている。そこで本研究では、プラヤにおけるリチウムの起源を推定するため、ネバダ州の4つの塩湖から採取された9つの蒸発岩および湖底堆積物試料について、リチウム同位体比および各種元素濃度分析を行った。リチウム同位体比の結果は、プラヤに濃集しているリチウムの大部分は、地上での風化反応起源によるものではなく、ローカルな熱水活動による高温での水・岩石反応により供給された可能性が高いことが示された。
  • 河村 雄行
    セッションID: S2-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    粘土と粘土鉱物は地殻における主要な物質であり、工学的に有用である。スメクタイトが顕著な水和特性を示す構造としくみを調べるために分子シミュレーションをおこなった。また、鉱物表面の水滴や水層のナノ物性を調べるための分子動力学計算をおこなった
  • 石川 慧, 佐久間 博, 土屋 範芳
    セッションID: S2-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    地殻中では流体包有物中の水や間隙中の水など,液相や気相の状態の水が存在している.プレートの沈み込み帯や地震発生帯もこのような水が存在する環境であり,この水は亜臨界-超臨界状態で存在している.またこの水は鉱物粒界などに非常に薄い薄膜状で存在している可能性があり,鉱物界面の影響で水分子がバルクの水(自由水)とは違った状態になることが知られている.本研究では石英表面上の薄膜水の性質を,赤外分光観察と古典分子動力学(MD)計算を用いて明らかにしていく.
    赤外分光観察では,高温高圧の薄膜水が観察可能なダイヤモンドセルを用いて,金属反射板上および石英基板上の,厚さ1 μm以下の水の測定を行った.ここでは3400cm-1付近に現れる水分子のOH伸縮振動ピークの形状から水の構造化について考察していく.
    またMD計算では石英表面での水の構造・物性を調べ,赤外分光測定との比較を試みる.
  • 奥山 康子
    セッションID: S2-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    大阪南部,和泉山脈地域の和泉層群泥岩中に産する含ドーソン石炭酸塩鉱物脈を,CO2地中貯留の地化学的閉じ込めのナチュラル・アナログとして研究した.炭酸塩脈では,早期のドーソン石+あられ石形成に引き続き,方解石が沈殿し,しばしば複合脈を形成する.ドーソン石とあられ石は酸素同位体比が近接するが,炭素同位体比は2‰程度異なり,ドーソン石の方が同位体的に重い.複合脈中の方解石の同位体比は,早期析出のドーソン石・あられ石と全く異なる.また,含ドーソン石炭酸塩脈の分布しない和泉層群主帯砂岩中の方解石の同位体組成は,複合脈の方解石と異なる.2種類の方解石はそれぞれ同位体特性の異なる水質流体から析出したと考えられる.
  • 石山 沙耶, 安東 淳一, Das Kaushik, 中井 俊一, 太田 泰弘
    セッションID: S2-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    沈み込み帯で生じる内陸地震の中には,地殻流体が起因となって発生したと考えられているものが報告されており,物理学的,化学的な手法により研究が進んでいる.しかし天然の破砕岩を研究対象とし,破壊過程にどの様な流体がいつ関与したかを明らかにした例は少ない.今回我々は日本3大カルストの1つである平尾台に露出している大理石中に,脆性破砕岩が存在することを発見し,その成因を明らかにする為の調査・分析を行った.本研究により,破砕岩は地表において円形状また楕円形状の特徴的な分布を示し,かつ水圧破砕に特徴的な不規則角礫状の破砕組織をもつ事が分かった.さらに破砕岩を構成する方解石の鏡下観察,変形微細組織観察,化学組成分析,及び流体包有物の均質化温度・融点測定,Rb-Sr同位体比分析結果を合わせて考えると,本破砕岩は比較的高温かつ低塩濃度の流体による複数回の水圧破砕を記録している可能性が高い事が明らかになった.
  • 安東 淳一, 山本 貴史, 大藤 弘明, 前川 寛和, 村田 恵子
    セッションID: S2-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    Murata et al.(2009)は、蛇紋岩海山を構成する蛇紋岩中にFeに富む縞状ゾーニングを有するオリビンを発見した。本研究では、この蛇紋岩の微細組織を主にTEMを用いて調べ、蛇紋石化の過程を以下の様に明らかにした。①ペリドタイトが転位クリープによって塑性変形し、その結果オリビン中に(100)に平行な亜結晶粒界が形成された。②このオリビンから、トポタキシャルな関係を持ってアンチゴライトが晶出した。③アンチゴライト化の際にオリビンから放出されたFeが、亜結晶粒界を構成している転位へパイプ拡散した。その結果Feに富む縞状ゾーニングが形成された。④そして再度、オリビンとアンチゴライトの界面に流体が浸透し、アンチゴライトを選択的に置換する様に新たに蛇紋石が成長した。
  • 村田 雅美, 植松 勝之, 山本 貴史, 谷 健一郎, 宿野 浩司, 水上 知行, 森下 知晃
    セッションID: S2-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    マントル物質中の結晶と結晶の境界(相境界)に,メルトや水に富む流体がどのように,どれだけ存在しているかは,メルトの発生や移動,マントルの物性・化学組成変動に直接的な影響を与えるため重要な情報であるが,天然物質の観察例はほとんどない.  我々の研究グループでは,これまで知られていなかったマントル起源かんらん岩の結晶表面(相境界)のナノスケール微細組織に着目し,この組織が,固相―流体反応で相境界に形成された物質であると仮説をたて検証している.
  • 山田 稜, 岡本 敦, 最首 花恵, 中村 美千彦, 奥村 聡, 佐々木 理, 土屋 範芳
    セッションID: S2-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    地殻における水理学的特性を考える上で,シリカの溶解‐析出反応の理解は不可欠である.シリカの高過飽和流体からの析出現象は,地熱発電ではスケールとしてアモルファスシリカが析出するのに対し,石英脈では石英が析出している.また,アモルファスシリカと石英では析出様式は異なることが産状から観察される.これらの鉱物種と析出様式の違いを決定する要因はよく分かっていないのが現状である.  本研究では流通式水熱反応装置,実験を再現するモデルと組み合わせることにより,高温・高圧環境下における多様な産状にアプローチを行う.
  • 最首 花恵, 岡本 敦, 土屋 範芳
    セッションID: S2-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    Calculation of quartz solubility at the Kakkonda geothermal field and the hydrothermal experiments of silica precipitation indicate that the permeable-impermeable boundary could be reproduced by precipitation of silica minerals. To consider the hydrological conditions within the Earth's crust, kinetics of surface reaction and nucleation of silica minerals should be needed.
  • 宇野 正起, 岡本 敦, 土屋 範芳
    セッションID: S2-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    地殻への流体供給に対する浸透流とチャネリングフローの役割を明らかにする為に,東南極セールロンダーネ山地南東の,地殻—メルト吸水反応帯を調査した.パーガス閃石−金雲母かんらん岩に花崗岩質岩脈が脆性的に貫入しており,その境界に角閃石,金雲母からなる厚さ10–15 cm程度の吸水反応帯が形成されている.その生成条件は5 kbar, 700 °Cと見積もられ,中部地殻に相当する.反応帯の含水量分布と花崗岩質メルトの含水量推定から,地殻全体の平均含水量2 wt%のうち,メルトの脆性貫入による含水化は0.5 wt%, それ以前の浸透流による含水化は1.5 wt%と見積もられる.これらのことから,下部~中部地殻での浸透流:脆性破壊の含水化寄与率は3 : 1であること,また脆性破壊による流体供給では,含水化反応は母岩側の反応が律速していることが分かった
  • 西山 忠男, 中村 怜美, 浦田 健作
    セッションID: S2-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    北九州市平尾台に産する球状大理岩の成因を考察した.産状からこの球状大理岩は水圧破砕によって形成された破砕帯中に,破砕された大理岩を核として,その周囲にドロマイトと方解石が周期的に沈殿して形成されたことが明らかになった.方解石‐ドロマイト地質温度計により,その形成温度は700度程度と見積もられ,その温度は核からの距離に無関係であることが示された.この形成温度はFukuyama et al.(2004)によって見積もられた平尾花崗閃緑岩による接触変成作用のピーク温度と一致し,この球状大理岩を形成した流体活動は平尾花崗閃緑岩に由来するものと結論される.また結晶粒系分布の測定結果から,核の方解石の平均粒径と粒径分布は,母岩の方解石のそれらとよく一致する.またドロマイトの平均粒径は方解石のそれより著しく大きいことから,ドロマイトの粒成長速度は方解石のそれより有意に大きいことが示された.
  • 東野 文子, 河上 哲生, 土屋 範芳, 坂田 周平, Satish-Kumar M., 石川 正弘, Grantham Geoff, 平田 ...
    セッションID: S2-P01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    東南極セール・ロンダーネ山地中央部ブラットニーパネに産するGrt-Opx-Hbl片麻岩には、主たる面構造を切って、GrtとHblから成る幅1cmの小岩脈が貫入する。脈の中心から離れるにつれ、HblとBtのCl濃度とHblのK濃度は下がり、PlのNaに富むリムは脈から離れるほど薄くなるため、このGrt-Hbl脈は、NaCl-KClを含む高濃度塩水の流入によって形成されたと考えられる。地質温度圧力計を用いた温度圧力見積もりにより、この高濃度塩水は、片麻状構造の形成後、後退変成期初期に流入したと分かった。さらに、Hbl中のZn, Sr, Ba, Pb, U濃度は脈から離れるにつれて低下し、Nb, Y, REE濃度は脈から離れるほど上昇するため、これらの元素は脈の形成時に、流入・流出したと考えられる。今後さらなる解析を進めることで、高濃度塩水活動に伴う物質移動の解明が期待される。
  • 橋本 崇史, 林 謙一郎
    セッションID: S2-P02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    アタカマ塩湖は世界最大の塩湖の一つで,超乾燥地域に位置する.乾燥により湖面は厚い塩類皮殻によって覆われているが,かん水中に約2,200 ppm の高濃度リチウムを含有している.
    塩湖の形成モデルによれば,塩湖に供給される水は後背地からの降水や雪解け水が主体である.それらが伏流水として流入する過程で蒸発を受け,その組成を高濃度のかん水へと変化する.
    塩湖のリチウムの起源については,塩湖周囲に広がる火山岩類に含まれるリチウムが伏流水により溶脱されたとする火山岩起源説及び北部の地熱帯の温泉水も含めた伏流水が関係しているとする説がある.
    塩湖の高濃度リチウム起源を解明するためには,伏流水が通る後背地の地質が重要となってくる.しかし,塩湖周辺に分布する岩石の化学組成に関する研究は乏しい.そこで,本研究では現地調査を行い岩石記載とそれら岩石の化学分析を行い高濃度リチウムかん水の起源に関する考察を行った.
  • 大西 拓, 小室 光世
    セッションID: S2-P03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    深海底のマンガン堆積物において,続成作用における有機物の分解に伴う還元がマンガン堆積物中の重金属元素の挙動に大きく影響を及ぼすと推察されているが,実験による検討はほとんどなされていない.そこで本研究では,続成作用を模擬したマンガンノジュールの還元に伴う溶解,重金属元素の挙動,鉱物変化について実験的に検討した.実験は,反応容器にマンガンノジュール試料と還元剤の溶液を封入し,マンガン酸化物-溶液を岩石/水比1:1000として一定期間放置するバッチ式で行った.反応物は反応期間後,フィルターを用いて固液分離を行い,溶液を調整してICP分析装置を用いて溶液の化学組成を分析した.この実験から,還元剤が増加するにしたがってマンガン,微量元素の溶出が認められた.これは続成作用によって生じるとされる現象と一致しており,このことから,還元に伴う挙動は元素によって異なり,組成が変化することが明らかになった.
  • 和田 菜奈絵, 安東 淳一, 山本 貴史
    セッションID: S2-P04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    北イタリアFinero金雲母かんらん岩体は上部マントル起源であり,マントルウェッジでスラブ脱水による交代作用を受けているといわれている。この水がかんらん岩の塑性変形に与えた影響に着目し,塑性変形履歴を解明するために、偏光顕微鏡,電子顕微鏡(SEM/EBSD,TEM)による微細組織観察を行った。試料は全てポーフィロクラスティック組織を呈し,一部の試料はカタクレーサイト的であり破断面を伴っていた。そのような試料の観察結果を以下に示す。1)オリビンのポーフィロクラストは複雑な波動消光を示し,粒界や割れ目近傍には再結晶粒子が存在する。2)流体包有物が大量に存在する。3)ドライな環境で発達するオリビンのすべり系が,含水条件を示すすべり系に上書きされている様子が確認できた。このような特徴から,変形履歴についてモデルを提唱した。
  • 延寿 里美, 上原 誠一郎
    セッションID: S2-P05
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    ロジン岩は蛇紋岩に伴って産出し, Caに富みSiに乏しく非常に多様な鉱物組み合わせを示す。長野県下伊那地域では様々な蛇紋岩化の程度のかんらん岩及び蛇紋岩が見られ, これらの超塩基性岩に伴いロジン岩が産する(e.g. 島津 1956)。今回蛇紋岩化の程度の異なる蛇紋岩・かんらん岩に伴うロジン岩を用いて, 両者の境界部を中心とした観察から形成時の反応の推定を行った。ほとんど蛇紋岩化していないかんらん岩とロジン岩脈の境界部では蛇紋石-緑泥石帯が形成され, かんらん岩側ではAlの変化を伴うメッシュ組織, ロジン岩側ではAl, Feに富む短冊状組織が見られた。両者の間はAl, Feが緩やかに変化する領域によって接続されていた。それに対し, 蛇紋岩とロジン岩の境界部でも蛇紋石-緑泥石帯が形成されていたが蛇紋岩側のメッシュ組織内でのAlの変化は見られず, 不連続に短冊状の組織に切り替わっていた。
  • 岡本 敦, 福島 孝治
    セッションID: S2-P06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    岩石−水相互作用において,準安定な鉱物がはじめに析出し,その後により安定な鉱物へと変化することがしばしば起こる.この現象は,オストワルドの段階則と呼ばれているが,その詳細なメカニズムはよく分かっていない.本研究では,ミクロな格子ガスモデル(ポッツモデル)を用いて,水溶液からシリカが核形成するプロセスのダイナミクスを探る.モデル系には,水粒子とシリカ粒子が存在し,シリカ粒子はアモルファス(A), クリストバライト(C), 石英(Q)の状態をとる。アモルファスシリカ粒子がランダムに浮遊する状態から,シリカ粒子の状態変化と運動(位置の変化)をモンテカルロシュミレーションで時間発展させた.結果として,バルクのエネルギー(過飽和度)と界面エネルギーの相対的な大きさ,または不純物によって、大きなクラスターが出来るときの状態が変化することが明らかになった.
R1:鉱物記載・分析評価
  • 石田 清隆, Hawthorne Frank
    セッションID: R1-01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    A席をK,Rb,Csで、四面体席を(Si,Ge;Al,Ga)で、(OH)を(OD,F)で置換した合成金雲母の、リートベルト結晶構造精密化解析、および遠赤外吸収スペクトル解析を行い、遠赤外吸収バンドの帰属決定を行った。
  • 北脇 裕士, 江森 健太郎
    セッションID: R1-02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    コランダム(ルビー、サファイア)の原産地鑑別は、個々の結晶が産出した地理的地域を限定するために、その地域がどのような地質環境さらには地球テクトニクスから由来したかを判定するためのバックグランドが必要となる。そして試料の詳細な内部特徴の観察、標準的な宝石学的特性の取得が基本となり、紫外-可視分光分析、赤外分光(FTIR)分析、顕微ラマン分光分析、蛍光X線分析さらにはLA-ICP-MSによる微量元素の分析が行われる。
    原産地鑑別における地理的地域の結論は、それを行う宝石鑑別ラボの意見であり、その宝石の出所を証明するものではない。同様な地質環境から産出する異なった地域の宝石は原産地鑑別が困難もしくは不可能なこともある。原産地の結論は、検査時点での継続的研究の成果および文献下された情報に基づいて引き出されたもので、検査された宝石の最も可能性の高いとされる地理的地域を記述することとなる。
  • 江森 健太郎, 北脇 裕士
    セッションID: R1-03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    宝石鉱物の組成はその宝石鉱物が産出した地質環境を反映している。本研究ではLA-ICP-MSを用いた微量元素分析の宝石学への応用例として、宝石コランダムの産地鑑別についての研究を行った。標準的な鑑別手法では識別が困難と言われているミャンマー、スリランカ、マダガスカル産のブルーサファイアはMg:Ti比が特徴的であり、産地鑑別の大きな指標となることが確認された。ベトナム、カンボジア、タンザニア、マダガスカル、ミャンマー産のルビーについてはMg、Vの含有量、Mg:Ti比が識別の指標になることが明らかとなった。
  • 上原 誠一郎, 白勢 洋平, 山口 海
    セッションID: R1-04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    超伝導遷移端センサ(TES)を利用したマイクロカロリメータを搭載したFE-SEMは新しい微小部化学分析のシステムである.TES を搭載したULTRA55 FE-SEMを使用し,珪酸塩鉱物他の測定を行った.測定は加速電圧5kV,コンデンサー絞り60 または 120 μm, 高電流モード,測定時間60,300,600秒で行った。定量分析のために標準物質を用いて検量線を作成したところ,Mg, Si, Fe, Al, Na, Caの強度と濃度には線形の関係がえられた.
  • 大藤 弘明, 山本 昌志
    セッションID: R1-05
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    岩石や鉱物などの非電導体試料のSEM観察およびEDS組成分析をするにあたり,試料表面に電導性の蒸着膜を施す必要がある.本研究では,膜厚5nmの極めて薄いオスミウムの蒸着膜を用い,主要な造岩鉱物試料の元素定量分析を行い,その有用性について検討した.分析の結果,一般的に用いられる炭素蒸着膜と同等の精度の良い定量値が得られることを確認し,特に,酸素や炭素,窒素といった軽元素の定量分析に極めて有効であることを見出した.
  • 坂口 勲, 橋口 未奈子, 渡邉 賢, 齋藤 紀子, 鈴木 拓, 菱田 俊一
    セッションID: R1-06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    酸化錫(SnO2)の緻密な多結晶体を酸化亜鉛(ZnO)を添加する事で合成した.これを試料として、重水素の水蒸気下で熱処理する事で重水素を拡散させた.その拡散過程を2次イオン質量分析装置で分析した.すべての試料で拡散プロファイルが得られ、さらにその拡散領域で重水素の拡散経路を観察した.これらをまとめた結果に考察を加える.
  • 長瀬 敏郎, 門馬 綱一, 栗林 貴弘, 宮本 毅, 山田 亮一
    セッションID: R1-07
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    玉髄ならびに瑪瑙の微細組織の観察結果ならびに野外での産状をもとに,国内での玉髄ならびに瑪瑙の形成プロセスについて考察する。玉髄・瑪瑙の組織は4つのタイプに区分される。このような組織の違いの一つの要因は,玉髄・瑪瑙が交代した前駆物質の違いによる。玉髄・瑪瑙は非晶質シリカ(オパールA)もしくはオパールCTを交代しており,直接溶液から形成した痕跡は今のところ認められていない。すなわち,シリカ過飽和溶液からオパールAもしくはオパールCTが沈殿し,これを交代して玉髄・瑪瑙が形成されたと考えられる。日本国内から産出する玉髄・瑪瑙は,新第三紀中新世前期から中期に形成された地層から産することが多い。この時期には珪藻土の堆積層も多く見られ,これらの珪藻堆積層がシリカ溶液の供給源である可能性が高い。
  • 下林 典正, 瀧元 惇司, 高田 雅介, 鶴田 憲次, 鶴田 亮介, 吉田 健太
    セッションID: R1-08
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
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    青森県中津軽郡西目屋村のある工事現場から六方両錐形を呈する石英結晶が産出した。石英の結晶に普通に発達すべき柱面がなく、同じく一般には柱面が発達しない高温石英の仮晶と比べても錐面間の面角が全く異なり、石英の成長形とは思えない形態をしている。他の鉱物の仮晶と考えられるが、本研究で調べた限りでは、起源となった鉱物相は全く残存していなかった。そのため、外形しか手掛かりが残されていないものの、その形状からは第4のシリカ包摂化合物(クラスラシル)鉱物の可能性が示唆されるので、ここに報告する。
  • 白勢 洋平, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-09
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    福岡県長垂LCTペグマタイトから採取したモンブラ石-アンブリゴ石[LiAlPO4(OH)-LiAlPO4F,三斜晶系(C-1)]と結晶内部に散在するラクロワ石[NaAlPO4F,単斜晶系(C2/c)]との組織及び方位関係について透過型電子顕微鏡を用いた観察を行った。ラクロワ石はラメラ状の組織を有しており,Fに非常に乏しいモンブラ石を伴う。ラクロワ石とモンブラ石の結晶方位はほとんど等しく,Fに乏しいモンブラ石も同様である。粒界は(110)面と(1-10)面からなる。離溶または交代作用により,Fに富むラクロワ石とFに乏しいモンブラ石の2相が劈開に沿って形成されたと考えられる。離溶組織の場合は,高温相がイオン半径の小さなLiを含む空間群C-1のモンブラ石と,Naを含む空間群C2/cのラクロワ石に離溶し,集片双晶もその際に形成されたと考えられる。
  • 門馬 綱一, 池田 卓史, 長瀬 敏郎, 栗林 貴弘, 本間 千舟, 西久保 勝己, 高橋 直樹, 高田 雅介, 松下 能孝, 宮脇 律郎, ...
    セッションID: R1-10
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    千葉県南房総市荒川から、千葉石と共生して産出した未命名シリカ鉱物について、新鉱物bosoite「房総石」として国際鉱物学連合新鉱物命名分類委員会の承認を受けた。房総石はケージ状骨格構造中にメタンやエタンなどのガス分子を含み、構造H型のガスハイドレートと同形構造である。
  • 永嶌 真理子, 浜根 大輔, 冨田 宣光, 皆川 鉄雄, 稲葉 幸郎
    セッションID: R1-11
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    三重県伊勢市の層状マンガン鉱床より新鉱物「ランタンフェリ赤坂石」(A1CaA2LaM1Fe3+M2Al M3Mn2+(SiO4)(Si2O7)O(OH): IMA2013-126)および「ランタンフェリアンドロス石」(A1Mn2+A2LaM1Fe3+M2AlM3Mn2+(SiO4)(Si2O7)O(OH): IMA2013-127)を発見した.いずれも緑簾石族鉱物に属し,その組成はLa, Mn, Feに富む.両種はA1席に卓越する元素(Ca, Mn2+)により区別される.結晶化学的検討の結果,新たに(1) A1席におけるMn2+含有量の増加に伴うβ-angleの減少, (2)Mn2+を含まないものと比べMn2+を含む褐簾石族でより顕著なA1-O9の伸長が起こることを明らかにし, A1席中のMn2+増加でδ[(A1-O5)-(A1-O6)] (Å)が大きくなることを確認した.
  • 宮脇 律郎, 松原 聰, 横山 一己, 重岡 昌子, 門馬 綱一, 山本 貞興
    セッションID: R1-12
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    Mieite-(Y) [(Y,Dy)4(Ti,Al)(SiO4)2O[F(OH)]6: orthorhombic, Cmcm, a = 14.942(2), b = 10.633(2), c = 7.0365(8) Å, V = 1118.0(3) Å3, Z = 4] was approved as a new species by the IMA-CNMNC (#2014-020).
  • 石橋 隆, 下林 典正, 松原 聰, 門馬 綱一, 宮脇 律郎, 重岡 昌子, 徳本 明子, 長瀬 敏郎
    セッションID: R1-13
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
     和歌山県串本町の海岸にみられる銅,亜鉛,鉛の硫化鉱物を含む熱水性鉱脈の周辺に,本邦初産のダイアボレオ石(diaboleite),キュマンジュ石(cumengeite),ラウリオン石(laurionite),フォスゲン石(phosgenite)をはじめ,多種の二次鉱物の産出が確認された.これらの鉱物の産状等について報告する.
  • 松原 聰, 宮脇 律郎, 門馬 綱一, 重岡 昌子, 徳本 明子, 石橋 隆, 下林 典正, 長瀬 敏郎
    セッションID: R1-14
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    紀伊半島南部の海岸に露出する銅・亜鉛・鉛の硫化物を含む鉱脈の酸化帯から、日本初産の二次鉱物を少なくとも4種類を発見した。そのうち、キュマンジュ石とダイアボレオ石について、化学組成や他の二次鉱物との共生関係を報告する。
  • 延寿 里美, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-15
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    含水カルシウム鉄砒酸塩鉱物であるアルセニオシデライト, 鉄ワルキルデル石, ユーコン石は類似したXRDパターンを示し, 最も低角側のピーク位置が異なる。今回大分県木浦鉱山瓜谷鉱床の一部から本邦初産となるワルキルデル石及びユーコン石を見出したので報告する。両者は石英と硫砒鉄鉱からなる鉱石の表面を覆うように赤銅色と黄銅色の放射状集合体が層をなして分布している。赤銅色のものは100µm程の板状結晶で構成され, 黄銅色のものは数µmの薄い鱗片状の結晶で構成されていた。XRDパターンはそれぞれの赤銅色のものがSarp (1999)の鉄ワルキルデル石, 黄銅色のものがRoss and Post (1997)のユーコン石とほぼ一致した。赤銅色のものの組成式はCa3.94Fe6.23As3.93O16(OH)8・18H2Oであり, 両者とも電子線や摩擦に対して不安定であり組成及び構造の変化が見られた。
  • 吉田 健太, 平島 崇男, 三宅 亮, 土`山 明, 大井 修吾, 中野 司, 上杉 健太朗
    セッションID: R1-P01
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    集束イオンビーム装置とSPring-8(BL47XU)を用いた高分解能X線CTを用いて変成岩中に含まれる7µm程度の微小流体包有物の三次元形態観察を実施した.三波川変成帯の四国中央部別子地域より採取した変成岩中の流体包有物の形態は岩体の沈み込み期に捕獲されており,上昇期の密度再平衡を被っていることが期待される.CT像を撮影した流体包有物は面が発達した負結晶を為しており,負結晶の結晶面角の関係は石英の面角関係を満足するものであった.CT像の三次元的な観察により微小包有物内部の気液比を正確に求め,包有物のバルク組成と密度の推定を行った.石英中の包有物が保持する密度は300ºC程度の圧力を保存しているとされており(Küster & Stöckhert, 1997),本研究で得られた密度(300ºC、260MPa程度)は先行研究による試料採取地域の上昇PTパスの低温延長とみなしてよいと考えられる.
  • 安藤 珠美, 林 綾華, 鑛山 明希子, 小林 祥一, 草地 功, 岸 成具, 田邊 満雄
    セッションID: R1-P02
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    岡山県布賀鉱山で、島崎石を主体とするホウ酸塩鉱物集合体近くの露頭で、uralborite, sibirskite, fluorite, calciteなどの鉱物の集合体と晶質石灰岩との境界付近の主に脈中に、灰色を示すpriceiteを見出した。PriceiteはCa2B5O7(OH)5・H2O組成のカルシウムマンガンの含水ホウ酸塩鉱物である。Priceiteは最初アメリカカリフォルニア州のFurnace Creekからの試料に対してFoshag (1924)によって命名された.なお、日本ではpriceiteの産出は初めてである。EPMAによって得られた分析値をもとに求めた実験式は理想式に近く、粉末X線回折によって得られた格子定数は、a=11.63(1), b=6.977(2), c=12.34(4) Å, β=110.65(1)°であった。
  • 白勢 洋平, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P03
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    福岡県長垂LCTペグマタイト中の桃色の電気石はその多くが部分的に雲母化しており,柱状の外形を残し完全に置換されているものも存在する。本研究では,この変質度に多様性のある桃色のLi電気石の交代変質についての鉱物学的研究を行った。Li電気石はいずれの試料においても割れ目に沿って,細粒な白雲母に置換されており,細粒なクーク石,石英,トパズを伴うこともある。Li電気石を置換した白雲母のポリタイプは2M1,又は2M1と1Mからなる。代表的な化学組成はK0.9Al2.0Si3.1Al0.9O10(OH)1.9F0.1であり,層間陽イオンがやや欠如している。TEM観察の結果,変質により形成された白雲母はLi電気石との間に明瞭な方位関係は有していなかった。Li電気石は熱水環境下でLiやFを含む交代変質を経て,最終的にKに富んだ熱水との反応へと複数の段階の変質作用を受けていたことがわかった。
  • 菖蒲 彩香, 上原 誠一郎
    セッションID: R1-P04
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    ラブドフェンは加熱により脱水し, 無水のラブドフェンとなり, その後モナズ石へと転移する。合成希土類リン酸塩鉱物の加熱変化は引地ら(1989)等によって報告されているが, 天然のラブドフェンの加熱変化に関しての詳細な報告は少ない。
    現在, 佐賀県東松浦半島に分布する希土類リン酸塩の鉱物学的性質を研究している(菖蒲・上原, 2013)。この産地の試料は小さく熱分析できないため, 他産地での結果を報告する。TG-DTAを用いた熱分析や加熱実験を行い天然のラブドフェンの加熱変化を検討したところ、合成のラブドフェンの加熱変化とは異なる結果を得た。
    ラブドフェンは150℃, 512℃, 707℃を中心に脱水しており, 三段階で脱水することが推察される。DTA分析後のX線回折パターンではラブドフェンとモナズ石の両方が確認され, ラブドフェンは1000℃においても構造を維持することがわかった。
  • 篠田 圭司, 小林 康浩, 副島 啓義
    セッションID: R1-P05
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    筆者らは昨年の鉱物科学会年会で、マルチキャピラリーX線レンズキャピラリーX線レンズ(MCX)を用いた顕微メスバウアー分光器の改良と改良後のビーム評価及びメスバウアースペクトル測定について報告した。その後、分光計の焦点位置付近に設置するピンホール位置と、試料位置にx-z自動ステージを追加し、微動走査幅でのマッピングが可能な分光計に更新した。本報告では自動ステージを用いてγ線焦点位置において、ピンホールを用いた二次元走査と、ナイフエッジを用いた一次元走査を行い、ピーク形状と、ピーク半値幅を推定した。
  • 日高 伸也, 篠田 圭司, 小林 康浩
    セッションID: R1-P06
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    黒雲母は層状珪酸塩鉱物であり,化学式はK(Mg,Fe,Al)3(Si,Al)4O10(OH)2と表わされる.理想的な化学式中では,鉄は二価の状態で存在するが,黒雲母が酸化雰囲気中に置かれることで三価鉄が増加するとされる.風化作用は常温付近での酸化・水和反応なので,黒雲母中の三価鉄の比( Fe3+/ (Fe3++Fe2+) )は風化の程度を表わす定量的な指標となりうる.鉱物中の鉄の二価・三価比を定量的に求める方法の一つに,メスバウア分光法がある.本研究ではメスバウア分光法を用いて黒雲母中の三価鉄の比を測定する際の実験的手法について報告する.今研究では,空気中で加熱した黒雲母の定方位試料と,完全無配向の粉末試料のメスバウアスペクトルを測定し,両者の三価鉄の比を比較した.
  • 黒澤 正紀
    セッションID: R1-P07
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    多相包有物の存在は流体の沸騰現象と密接で、沸騰による金属元素の分配が金属鉱床形成に重要なことから、鉱床の形成過程解明に重要な手掛りを与える。多相包有物は多量の塩類や金属元素を含むため、冷却過程で多種類の固相(娘結晶)を析出していることも多い。主な析出物は岩塩(NaCl)であるが、方解石や赤鉄鉱等を含むこともあり、娘結晶の種類は流体の化学組成に対する重要な情報源となっている。但し、国内では花崗岩の多相包有物中の娘結晶の報告は少ない。そこで、今回は、多量の娘結晶を含む多相包有物を多産する対馬の花崗岩体について、SEM–EDSによる娘結晶の観察・分析した。その結果、多相包有物中には、岩塩・カリ岩塩・塩化鉄の結晶が多く認められた。塩化カルシウム結晶は確認できなかったが、鉄炭酸塩(菱鉄鉱)や方解石が認められた。さらに、岩塩やカリ岩塩に混在して、多量のホウ酸も存在することが確認された。
  • 大川 真紀雄, 下田 健士朗, 浦谷 勇貴
    セッションID: R1-P08
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    強い磁性を帯びた岩石として知られる、山口県萩市「須佐高山の磁石石」(斑レイ岩)、島根県益田市「松島の磁石石」(石英斑岩)、和歌山県紀の川市「龍門山の磁石岩」(蛇紋岩)の試料を採取し、SQUID磁束計を用いて岩石中に含まれる強磁性鉱物の磁気特性の評価を行った。須佐高山の磁石石中の強磁性鉱物はチタノマグネタイトで、イルメナイトラメラが析出している。龍門山の磁石岩中の強磁性鉱物はクロム鉄鉱-ヘルシン石系列の固溶体でラメラ状の磁鉄鉱が認められる。松島の磁石石にはチタン鉄鉱のみが認められ、磁鉄鉱(系列)は見つからなかった。本研究で得られた磁石石中の磁性鉱物の持つ磁気特性は天然磁石のそれには及ばない値であった。
  • 村松 敏雄, 小西 博巳
    セッションID: R1-P09
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/03/20
    会議録・要旨集 フリー
    新潟県に広く分布する魚沼層群中に含まれるSK100ジルコンのインクルージョンを調べた。このジルコンは火山ガラスに覆われた特異な形状をしている。このジルコンを主に走査電子顕微鏡で,観察した。その結果、ジルコンのインクルージョンに,メルト状のアルカリ質火山ガラスが多く見られた。他に斜長石やアパタイト含まれていた。また一部ジルコンの中心部に,累帯構造を呈しながら自然銀粒子と粒状のガラス質粒子と共存しながら密集していることが観察された。また,ジルコン結晶の表面及びジルコンに附着した火山ガラスの気泡穴に金、銀が観察された。その他にジルコンの割れ目や直線状の穴に、多くの微小鉱物が見出された。このことから,SK100火山灰層に,金,銀の他にNi, Cr,Cuなどの金属元素や「重晶石」「黄銅鉱」など熱水性の鉱物が多く見つかっている。このような火山灰層中に金,銀などが産することは珍しいことである。
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