宝石鉱物の組成はその宝石鉱物が産出した地質環境を反映している。本研究ではLA-ICP-MSを用いた微量元素分析の宝石学への応用例として、宝石コランダムの産地鑑別についての研究を行った。標準的な鑑別手法では識別が困難と言われているミャンマー、スリランカ、マダガスカル産のブルーサファイアはMg:Ti比が特徴的であり、産地鑑別の大きな指標となることが確認された。ベトナム、カンボジア、タンザニア、マダガスカル、ミャンマー産のルビーについてはMg、Vの含有量、Mg:Ti比が識別の指標になることが明らかとなった。