含水カルシウム鉄砒酸塩鉱物であるアルセニオシデライト, 鉄ワルキルデル石, ユーコン石は類似したXRDパターンを示し, 最も低角側のピーク位置が異なる。今回大分県木浦鉱山瓜谷鉱床の一部から本邦初産となるワルキルデル石及びユーコン石を見出したので報告する。両者は石英と硫砒鉄鉱からなる鉱石の表面を覆うように赤銅色と黄銅色の放射状集合体が層をなして分布している。赤銅色のものは100µm程の板状結晶で構成され, 黄銅色のものは数µmの薄い鱗片状の結晶で構成されていた。XRDパターンはそれぞれの赤銅色のものがSarp (1999)の鉄ワルキルデル石, 黄銅色のものがRoss and Post (1997)のユーコン石とほぼ一致した。赤銅色のものの組成式はCa3.94Fe6.23As3.93O16(OH)8・18H2Oであり, 両者とも電子線や摩擦に対して不安定であり組成及び構造の変化が見られた。