フェリハイドライトは、溶液中の金属を吸着し、地下水や河川水中を移動し、また準安定相であり、より安定な相に転移するため、その金属の地球表層での再分配に大きな影響を与える。フェリハイドライトの相転移に伴う金属元素の再分配の定量的な評価に向けて、異なる濃度のZnを吸着させたフェリハイドライトを相転移させることで、それに伴うZnの再分配と相転移速度の変化を調べた。見かけの相転移速度は初期Zn濃度が高いほど、遅くなった。また、相転移プロセスもZn濃度により異なり、低い方から、(i) ferrihydrite(Fh)→hematite(Hem)+goethite(Gth)、(ii) Fh→maghemite(Mgh)→Hem、(iii) Fh→Mgh→Hem+Zn-ferrite(ZF)の3種が見いだされた。Znの再分配は相転移プロセスの違いに大いに影響される。