コンドライト母天体環境に近いと考えられる条件(還元的,低温度,低圧力,低溶液/岩石比)の再現に工夫し,Allende CV3隕石を出発物質とした水熱変成実験を行った。実験は温度200℃,圧力約15気圧, 期間168時間の条件で行った。回収試料については,SR-XRDを用いて結晶相同定を行い,SEM-EDSおよびSTEM-EDSを用いて組織観察・分析を行った。実験の結果、低温(200 °C)かつ中性溶液(pH 7.0)条件下でも,わずか168時間という短い期間で,層状ケイ酸塩やCa鉱物の生成反応が顕著に進行することを示した。これらの結果は炭素質コンドライト母天体における水質変成の解釈に重要な制約を与える可能性がある。