オマーンオフィオライト北部フィズ岩体のSumaini windowでは,メタモルフィックソール直上のマントルセクション基底部に,レルゾライト,ハルツバージャイト,ダナイトが層状をなす。かんらん岩のスピネルCr#は0.48—0.56の範囲が空白で,それよりもCr#が低いものと高いものに二分される。単斜輝石の希土類元素のC1コンドライト規格化パターンは,重希土類元素から軽希土類元素にかけて減少する。流体の浸透に伴う低Cr#かんらん岩(レルゾライトおよびハルツバージャイト)のフラックス溶融によって,高Cr#かんらん岩(ハルツバージャイトおよびダナイト)が形成した。基底スラストの直上では,流体との反応の痕跡のない低Cr#かんらん岩と,流体の浸透およびフラックス溶融を経た高Cr#かんらん岩が共存する。高Cr#かんらん岩は流体がマントルセクション内部に浸透する際に流路と考えられる。