抄録
オマーン・オフィオライトで発見された熱水性と思われるクロミタイト(クロマイトの濃集体)を報告する。高温熱水から生成されたマントル中のディオプサイド中に存在する。クロマイトは半自形,小型粒子をなし,自形大型の含Crディオプサイド粒子の粒間を充填する。クロマイトはCr#0.6~0.7でマントルクロミタイト中のものと同様の化学的性質を示す。全岩のIr~Pt量はマントルクロミタイトと同様のレベルであるが,Os,Pd量は低い(検出限界以下)。不思議なことにPGMは見いだされず,構成鉱物中に微量元素として含まれていると思われる。熱水によるクロミタイト生成は古くから提唱され,否定されてきたが,条件が整えば生成可能である。