抄録
オリビンは通常それほど顕著な劈開を示さない。しかし地表に露出する蛇紋岩化した超塩基性岩体には、cleavable olivineと呼ばれる顕著な劈開が発達したオリビンが普遍的に産出される。本研究では、マリアナ前弧中部の雷神海山を構成する蛇紋岩化が進んだ超塩基性岩(ダナイト)を構成するオリビンを試料に用い、その中に顕著に発達するcleavable olivineの成因を、微細組織観察を基にして明らかにした。本研究によって、転位クリープによる亜結晶粒界(転位の配列)の形成と、その後のH2Oのパイプ拡散が、cleavable olivineの形成にとって、本質的に重要であることが示唆された。