抄録
東北日本の背弧火山である三ノ目潟火山の高MgO(≧8 wt.%)玄武岩は、かんらん石(Fo90)を斑晶として含むほか、地殻由来の斜長石(An30)を含む。Kuritani et al. (2014 Contrib. Mineral. Petrol.)は、三ノ目潟火山の初生メルトの含水量が6-7 wt.%であることを議論したが、メルトがこれほど水に富む直接的証拠は得られていなかった。斜長石などの無水鉱物は微量の水素を不純物として含み、その含有量は、共存するメルトの含水量に依存する。本研究では、斜長石の水素含有量を分析することにより、噴火前に非平衡ではあるが共存した玄武岩メルトの含水量を推定した。分析の結果、斜長石のコアは60 wt. ppm H2Oの水素を含むが、リムでは水素含有量が≧200 wt. ppm H2Oに達した。斜長石が高含水量メルトに取り込まれて噴火に至ったことが確かめられた。