抄録
本研究では,マインドフルネス体験が臨床心理実践を学ぶ学生に与える影響について,マインドフルネス・プログラムの構造を参考に作成したワークショップを実施することにより検討した。分析では日常生活と臨床心理実践の2つの場面及びその関連性に注目し,質的,量的双方のデータから分析を行った。参加者5名に対するインタビュー調査の結果,日常での活用によりマインドフルネスへの体験的理解が深まり,自然と身につく感覚を得ること,こうした感覚が臨床心理実践の場面に般化され,自身や被援助者の感情の扱いに影響を与えることが示された。また,実施前,実施直後,6ヶ月後の各時点でマインドフルネス特性を測定した結果,短期的にはマインドフルネス特性の全体的な向上が見られ,特に自身の思考や感情に対して判断をしない態度に顕著に現れた。さらに,その効果は低減傾向を見せつつも長期的に持続することが示唆された。