抄録
福岡県長垂ペグマタイトからはLi鉱物などに伴い粘土様鉱物が産するが,これらの粘土様鉱物の産状,組織,成因には未だ不明な点が多い。本研究では長垂Liペグマタイトから産する粘土鉱物の鉱物学的性質を報告するとともに,変質作用に関する議論を行う。長垂Liペグマタイトは脈状ペグマタイトであり,粘土様鉱物は,リチア雲母などのLi鉱物と共に,赤色,桃色,水色,白色の塊状-粉状で産する。また,カリ長石,ペタル石の表面及び,劈開部を一部置き換えて産することが多い。赤色粘土はK-Caモンモリロナイト又は,クッケアイト,石英からなる。桃色粘土はKバイデライト,トスダイト,クッケアイト,石英からなる。水色粘土はトスダイト,クッケアイト,石英からなる。トスダイトは,クッケアイト層とCaバイデライト層(又はモンモリロナイト層)の混合層からなる。それぞれ,形成温度,反応流体組成が異なり,多様な変質反応が生じている。