抄録
本研究は、常圧から5GPa の圧力幅で、マフィックから珪長質までの幅広い組成のメルトに適用可能な含水ケイ酸塩メルトの密度モデルの構築を行った。メルト中の水成分の圧縮率、熱膨張率およびその圧力微分、そして部分モル体積と K’に関して、先行研究によって実験値に推定された密度を参照して、キャリブレーションを行った。ドライメルトの K’に関しては、メルトの SiO2 含有量に対して新たにパラメーター化を行った。構築したパラメーターセットは、幅広いバルク組成や含水量でのメルトの密度を高精度で再現した。無水のメルトと比べると、含水メルトは低密度になるとともに、圧縮されやすくなる。メルトの含水量は地震波速度にも大きな影響を及ぼすことが予想される。この影響を議論するため、本モデルで決定されたパラメーターを用いて、メルト組成や含水量が地震波速度に及ぼす効果に関する定量的な見積もりを行った。