日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S704
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発表要旨
地図・GIS学習システムの開発 - GISカードの特徴
*土田 雅代
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抄録

はじめに

2022年度地理必修化に向けて高等学校におけるGISの活用が謳われてきている。地理教育に関するイベントや企業などで高校の地理必修化に向けてGISがどのように活用できるかをシンポジウムや公開講座などで実践的な取り組みを行っている事例など紹介されているものの、実際の授業に取り組んでGISの授業をしている高等学校は、少ない。

高等学校にてGISの授業を行う際の課題

これまで先進的な高等学校においては、授業やクラブ活動においてGISを取り入れてきており、様々な効果を発揮した事例をみかけるが、普通科高等学校でGISの授業を取り入れたい場合以下の課題がある。

教員がGISソフトウエアの操作を習得するのに時間がかかるGISデータなど教材作成に時間がかかるPC教室で毎時間授業ができるとは限らない1回の授業時間が50分と短く説明だけで終了してしまう

これらの要因などがあり、GISを使って地理教育を実施すれば、アクティブラーニングや地理的思考を学ぶことはできると考える教員は多いものの、実際にGISを授業に取り入れる際には、これらの課題があり難しくさせていることが伺える。それらの課題を少しでも解決するためにGISカードを開発した。

GISカードについて

GISカードは、小学校・中学校・高等学校向けのGIS学習ツールである。米国Esri社の提供するクラウドサービス「ArcGIS Online」と連携しており、インターネットに繋がった環境であれば、スマートフォンやタブレットなど端末に依存することがなく利用することができる。

GISカードの1枚は、GIS上のレイヤー1つに対応しており、ArcGIS Online上で、カードに対応したレイヤーにオン/オフのチェックをするだけで、GISがどのようなものかを理解することができる。

GISカードの特徴は以下のとおりである。

GISソフトウエアが不要インターネットに接続しているPCまたはタブレットで運用が可能GISデータの準備が不要生徒は話し合いながらカードを使って主題図を作成するため主体的な学びができる地図に対して思考力が身につく

GISカードを使った講習

実際に、GISカードを使ってシンポジウムに参加している教員に防災をテーマにしたGISカードを体験していただく。

5. まとめ

GISカードは、小学校・中学校・高等学校における授業やクラブ活動の利用であれば、ESRIジャパンが提供する「小中高利用支援プログラム」として無償で利用できる。しかしながら民間企業を中心に開発した教材であるため、教育機関と連携し、地理の普及のためにGISカードをどのように発展させていくか重要であるとも考えている。実際に、GISカードを講習で体験していただき地理教育でのGISの活用について考えていきたい。

参考資料

小中高利用支援プログラム

https://www.esrij.com/products/k-12-grant/

簡単に授業で使える! GISカード

https://www.esrij.com/news/details/127450/

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