抄録
雲母・粘土鉱物は断層面に存在する場合があり、断層の摩擦強度やすべり挙動に影響を与える。雲母・粘土鉱物は層状の構造を持ち、すべり面に対して劈開面が平行に配向することが多いため、劈開面における摩擦挙動を理解することが重要である。本研究では、雲母・粘土鉱物の結晶構造や原子間相互作用に着目しながら、現実的な大きさの雲母・粘土鉱物の摩擦を理解することを目的とする。①2軸摩擦試験機による実験では、白雲母の単結晶について法線応力を5 MPaから60 MPaまで変化させてせん断応力を測定した。せん断応力を法線応力で除して求めたすべり摩擦係数は、法線応力の増加とともに減少し、見かけ上アモントン・クーロンの摩擦法則から外れているように見える。②DFT計算では、理想的に平滑な白雲母・粘土鉱物の劈開面について法線応力を変化させながらせん断応力を計算した。DFT計算から、凝着力の起源および雲母・粘土鉱物の摩擦に関する法線応力依存性を議論する。また実験と理論計算をつなぐことができるかを議論する。