炭酸カルシウムの成長/溶解時の原子レベルの素過程、特にHCO3-イオンの振る舞いに制約を与えることを目的とし、成長/溶解する炭酸カルシウム近傍におけるpHおよびCaイオン濃度変化の可視化を試みた。その結果、溶解するカルサイト、アラゴナイト表面近傍で、結晶が溶解するにしたがってpHが変化していく様子を可視化することに成功した。さらに、結晶形成時の結晶核近傍のpHの様子を観察し、大きなpH勾配がないことを確認した。これは、有孔虫内における殻形成時の様子とは異なっており、本結果の結果と、有孔虫における結果をさらに比較検討することより、有孔虫の石灰化において、生物が果たす役割を明らかにできる可能性がある。