抄録
ロドラナイト隕石は始原的コンドライトの一種、である。本研究はロドラナイト隕石Y-791491のファブリック分析を行った。その結果、Y-791491のかんらん石はb軸に極集中、その他の軸が大円上に配向する特徴的なファブリックを示すことを発見した。このようなファブリックを形成するプロセスとして、マグマ中の集積作用、またはメルト存在下での固相変形が考えられる。前者は、線構造を伴うことが多いが、Y-791491には線構造は確認されない。加えて、Y-791491の溶融度が約20%であることは集積作用と不調和的である。後者のプロセスは、実験的に、高温高圧下での変形で形成されている。Y-791491中にはメルトの存在が示唆される脈が確認されている。輝石温度計から推定される平行温度は約1050℃である。カンラン石の組織から、Y-791491は衝撃作用を受けたと考えられる。もし、その天体衝突が変形を引き起こしたとすると、Y-791491中のb軸集中かんらん石ファブリックは部分溶融中の母天体での天体衝突で形成された可能性が高いと考えられる。