日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-02
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S2:岩石─水相互作用
C-CO2存在下でのfayaliteの熱水反応実験
*矢野 実磯部 博志
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抄録
C及びCO2が存在する熱水条件下で硫酸酸性溶液を用いたfayaliteの熱水反応実験を行った。出発物質は,Mnを約18.5mol%含む天然のfayaliteである。粒径50~60μmまで粉砕し,pH1,3の硫酸溶液または,pH7の蒸留水と反応させた。CO2:1.74mg,graphite:1.5mg,fayalite:8mg,溶液:16mgを金キャプセルに封入し,温度150,200または250℃,期間1,4または16週間の実験を行った。 実験生成物の走査電子顕微鏡観察の結果,fayalite粒子表面ではMn、Feが溶け出し,Siに富む層やMn,Siが溶け出してFeに富む溶脱層が形成されていた。二次的な生成物相としてFe-Mn炭酸塩や鉄酸化物,シリカが主に観察された。pH1では特徴的な針状の鉄酸化物微粒子が生成された。炭酸塩の組成はMnに富むものからFeに富む組成へ変化する傾向を示したが,pH3,7の150℃では時間とともに組成範囲が広がっていた。硫酸はケイ酸塩鉱物中のFe2+を酸化して鉄酸化物を作るが,CO2雰囲気下でのCの存在が硫酸による鉄酸化物の形成を阻害したと考えられる。
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© 2016 日本鉱物科学会
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