抄録
本実験では,天然のマントル-下部地殻境界における熱水変質速度を明らかにするために,反応溶液として純水を用いた,かんらん石-石英-水系の水熱実験を行い,反応進行度の空間分布・速度論解析を行った.結果,石英との境界から反応生成物の系統的な変化が観察された.かんらん石の最も石英に近い領域では滑石,離れると滑石と蛇紋石の混合物,より離れると蛇紋石のみが生成した.ブルース石は観察されなかった.かんらん石側において,滑石は石英との境界から約1.0 mm以内に観察された.一方,石英の領域では,かんらん石との境界から約0.5 mm以内に滑石が生成した.