日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-04
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S2:岩石─水相互作用
分子動力学による298-573 Kの石英表面の界面水の自己拡散係数の推定
*石川 慧佐久間 博土屋 範芳
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キーワード: 分子動力学, 界面水, 高温, 石英
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抄録

鉱物の粒界やき裂の間隙のような狭い領域に存在する水は、固体表面との相互作用により通常のバルク水とは異なる性質を持つことが知られている。本研究では古典分子動力学(MD)計算を用いて、石英表面の界面水の物理化学特性を、様々な温度圧力条件で評価した。  石英 (1010) 面にシラノール基で終端した表面モデルを作成し、この石英面間が0.5 nmから10 nm程度になるように水を挟み込むシミュレーションモデルを作成した。
298-573 Kの条件でシミュレーションを行ったところ、厚さ1 nm以下の薄膜水の自己拡散係数はどの温度でも著しく低く、厚さが4 - 5 nmを超える薄膜水ではバルク水とほぼ変わらない値になった。また厚さが5 nm程度の薄膜水において、石英表面近傍の1 nm程度の範囲で水分子が2, 3層の層状構造を形成しており、その範囲で徐々に自己拡散係数が低下していることが分かった。これらの特徴は、高温のシミュレーション結果においても確認された。  

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