日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-05
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S2:岩石─水相互作用
かんらん石の蛇紋石化に伴う海洋下部地殻斑れい岩類の弾性波速度変化
*阿部 なつ江廣瀬 丈洋多田井 修
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抄録

大西洋中央海嶺30°Nの海洋コア・コンプレックス(Atlantis Massif)では、海底下1415mまでの海洋地殻掘削(IODP Exp. 304/305)が行われ、約80%の高い回収率で海洋地殻物質を採取した。試料は斑れい岩類で、狭義の斑れい岩(Cpx+Pl)から非常にかんらん石(以下Ol)に富む(>70 vol%)トロクトライトまで多様なモード組成を示し、平均的なOlモードは10%以上になる。またそのOlは、他の鉱物と比べて低温変質(蛇紋石化)率が高い傾向がある。  一方、船上におけるコア試料(2 cm角立方体)の弾性波速度計測値は、岩相の違い如何によらず5.0~6.7 km/sを示しており、斑れい岩の平均的な弾性波速度として用いられる6.0~7.0 km/sや、インド洋において掘削された斑れい岩コア試料(Hole 735B)のそれ(6.0~7.3 km/s)よりも平均で約1 km/s遅い。船上計測・記載データを詳細に解析した結果、同じ斑れい岩でも、そのOlモード量(及び蛇紋岩石化率)が、弾性波速度の多様性に大きく貢献していることが分かった。

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