抄録
オマーンオフィオライトのマントルセクションのかんらん岩には,多くの超苦鉄質~苦鉄質岩脈が貫入しており,特に輝石岩脈は全体のおよそ50%を占めている(Python and Ceulenner, 2003).オマーンオフィオライトで見られる輝石岩脈はマグマソースの一部である可能性があり,本研究では輝石岩脈が地球システム内で果たす役割を議論する.オマーンオフィオライト中央部に位置するMiskin岩体のマントルセクションを調査した結果,ほぼ全ての岩脈が輝石岩によるものであった.貫入様式から輝石岩脈を分類した結果,母岩であるハルツバージャイトとの境界が不明瞭であり,マントルの構造に調和的であるものを,レイヤーとした.鏡下観察から,レイヤー内の斜方輝石が溶融してかんらん石となっていることが分かった.また,Miskin岩体には面構造からマントルダイアピルの存在が提案されている(Nicolas et al., 2000).レイヤーの量比を面構造の図にプロットした所,地殻セクション付近とマントルダイアピル付近でレイヤーの量が少ないという傾向が見られた.