日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: R7-P02
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R7:岩石・鉱物・鉱床一般(共催:資源地質学会)
アンチゴライトかんらん岩中のかんらん石の転位観察
*新井 翔水上 知行永冶 方敬Wallis Simon
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抄録
かんらん石とアンチゴライトの二相系において、蛇紋岩化に伴うかんらん石の転位構造の変化を明らかにするため、アンチゴライトの量比が異なる試料について酸化デコレーションを施し、EBSDを用いた結晶方位の測定とFE-SEMおよび偏光顕微鏡を用いた転位観察を行った。ポーフィロクラストにみられる転位壁からは、[100](010)と[010](100)のすべり系が示唆されるが、後者のすべり系を示唆する転位壁はXY面に配列し、剪断面に平行な刃状転位の運動とは矛盾する。ネオブラストのうちアンチゴライトが11%の試料では、アンチゴライト間に挟在するかんらん石のYZ面に平行に配列する転位壁から、[100] (010)、[001] (010)などの多様なすべり系が示唆される。一方、アンチゴライトが57%の試料には転位壁がほとんどみられず、X方向に平行な[001]方向の直線的な転位が多く観察される。これが[001]らせん転位だとすると、他の転位と比較して移動性が極めて低い[001]転位が、かんらん石の変形を担っているとは考えにくく、強く伸長したかんらん石には転位クリープとは異なる変形メカニズムが示唆される。
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© 2016 日本鉱物科学会
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