日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-12
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S2:岩石─水相互作用
沈み込み帯におけるざくろ石形成の脱水反応と流体移動
*岡本 敦清水 浩之
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抄録

沈み込み帯における累進変成作用により放出された水は、高ポアソン比として観測され,地震を引き起こす原因とも考えられているが、流体圧や流体移動の実態は明らかではない.本研究では,高圧変成岩のざくろ石組織と離散要素法モデリングにより、脱水反応による流体圧変化と流体流動について検討した.四国三波川帯のざくろ石帯のメタチャートには、多量の石英包有物を含む,スケルタルざくろ石が存在する.石英包有物は、パンケーキ状の形態を示し,ランダムな結晶方位を示し,ざくろ石成長時に,粒界で割れながら取り込まれたことを示唆する.一方,泥質片岩中のざくろ石は自形的で包有物をほとんど取り込んでいない.破壊-流体流動-反応を組み込んだDEMモデルにより,ざくろ石のスケルタルのような破壊組織は,(1)反応が正のクラペイロンカーブを持ち、(2) 無反応のマトリックス鉱物で囲まれ、(3) 粒界が割れやすい場合にのみ,形成されることが示唆される.このような反応条件はまれであり、多くの場合、流体圧は上昇しにくい。また、反応時の差応力と透水率の異方性についても検討する.

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© 2016 日本鉱物科学会
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