日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-11
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S2:岩石─水相互作用
三波川変成帯別子地域「端出場メランジュ帯」に記録された高圧変成岩上昇時の岩石-水相互作用
石山 悠和*河上 哲生平島 崇男
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抄録
沈み込み帯での岩石-水相互作用の理解のため、四国中央部三波川変成帯別子地域の「端出場メランジュ帯」の記載岩石学的研究を行った。本地域では、蛇紋岩や石灰質片岩が泥質片岩中にレンズ状に産し、岩相境界に反応帯が形成され、電気石濃集層が存在する。そこで本研究では、電気石濃集層を用いて、含ホウ素流体流入のタイミング制約を試みた。電気石濃集層が存在する試料と存在しない試料の比較から、泥質片岩中の非濃集層の電気石は、濃集層の電気石よりも高温で形成され、濃集層の電気石が成長した際には、顕著な温度変化はなかったことがわかった。アクチノ閃石岩中の濃集層の電気石に包有される角閃石の組成や、濃集層の電気石が東西方向にブーダン化していることなどから、含ホウ素流体は、本地域の変成ピーク後、かつ主片理Ss形成後に流入し、その後もDs変形が続いたと考えられる。カリ長石脈が電気石を一部置換することは、電気石を溶解させるアルカリ性流体が、岩体上昇の最後期に流入したことを示す。カリ長石脈がDs変形によって形成された圧力溶解へき開を持つことから、Ds変形は従来考えられていたよりも低温・低圧まで続いていた可能性がある。
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© 2016 日本鉱物科学会
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