日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2016年年会
セッションID: S2-P06
会議情報

S2:岩石─水相互作用
Erro-Tobbioカンラン岩体中の蛇紋岩の微細組織観察
*飯田 健介安東 淳一大藤 弘明Das Kaushik
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

アンチゴライト蛇紋岩はマントルウェッジにおける上部マントル岩石の対流や温度構造などに大きな影響を与えていると考えられている。本研究では、海洋プレートの沈み込みに伴って塑性変形した記録を有するアンチゴライト蛇紋岩の変形微細組織を観察し、その塑性変形特性を解明することを目指している。
本研究において蛇紋岩試料が採取されたErro-Tobbioカンラン岩体の変形履歴は次のように考えられている。変形時階1:ジュラ紀にヨーロッパプレートからアドリアプレートが分離した際に剪断変形を受けながら上昇し、海洋地殻中で含水作用により蛇紋岩化した。変形時階2:白亜紀にヨーロッパプレートとアドリアプレートの収束に伴って沈み込み帯が形成され、海洋プレートの一部として剪断変形を受けながら沈み込む。変形時階3:大陸プレート側に付加され、地表へと上昇に転じる。ここで重要な点は、各変形時階の変形は限られた領域に集中し、それ以外の領域では古い変形時階において形成された変形組織が保存されていることである。本研究では、変形時階1と2中に形成された組織を残す領域から試料が採取され、各々の変形履歴に対応した組織を観察した。

著者関連情報
© 2016 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top