抄録
本研究では、中国で製造された宝飾用のメレサイズの無色HPHT合成ダイヤモンド45石の物性評価を行い、天然ダイヤモンドとの重要な識別特徴について検討した。これらはすべてラウンドブリリアントカットが施された裸石で、重量は0.0075~0.023ct(およそ直径1mm~2mm)であった。標準的な宝石学的検査においては、金属溶媒に由来する包有物や磁性の存在、短波紫外線下における明瞭な燐光が識別の手掛かりとなり、PL分析や紫外線ルミネッセンス像の観察において確実に識別することが可能となる。これまで合成ダイヤモンドの宝飾用への利用は限定的であった。しかし、最近になって中国で製造されたメレサイズのHPHT法合成ダイヤモンドがセッティングされたジュエリーから発見される事例が急増している。個々の合成石は標準的な宝石鑑別手法とラボラトリーの分析を組み合わせることで看破は可能である。ダイヤモンドの出所に関する正確な情報開示と適切なスクリーニングが重要である。