抄録
神南山東側中腹には愛媛県西部では最大の銅鉱山となる大久喜鉱山がかつて在り,その支山が山中に点在している。それら支山の調査を行ったところ,鉄・マンガン鉱石を主とする鉱床を発見し,鉱石を切る石英脈中に黄褐色葉片状の鉱物を見いだした。その多くはバナジウムアルデンヌ石/Ardennite-(V)であったが,一部には多量のCaが含まれ,それは新鉱物に相当することが判明した。産地である神南山にちなみ,名前を神南石/Kannanite (IMA2015-100)と命名し,2016年2月に国際鉱物学連合の新鉱物命名委員会より新種の承認を受けたのでその詳細を報告する。神南石はバナジウムアルデンヌ石のCa置換体に相当する。