抄録
リシオフォライトは理想化学組成(LiAl2)(Mn4+2Mn3+)O6(OH)6ので示され,MnO6八面体シートと(Al,Li)(OH)6八面体シートからなる層状鉱物である。長垂ペグマタイトから産する塊状-膜状のリシオフォライトは,直径1 µm,厚さ500 nm前後の微細な円盤状結晶の集合からなっていた。その化学組成は(Li1.00Al2.00)Σ3.00(Mn4+2.00 Mn3+0.86Fe3+0.03Al0.11)Σ3.00O6(OH)6であり,格子定数はa = 2.921(5),c = 28.44(5),V = 210.1(7)となった。TEM/STEM観察の結果,STEM-HAADF像よりMnO6八面体シートと(Al,Li)(OH)6八面体シートが交互に積層した構造を確認できた。また,HRTEM像では[110]方向への1.47 Åと,その三倍の4.40 Åの周期があり,(Al,Li)(OH)6八面体シート内での秩序配列が生じていると考えられる。c軸方向へは局所的に秩序配列しているものの積層不整も多い