抄録
ブラジルミナスジェライス州アラシャのアルカリ・カーボナタイト複合岩体のNb鉱床から、特異的なパイロクロアが見いだされた。Ceに富む部位とBaに富む部位は、それぞれ、(□,Ce,Ba)2(Nb,Ti)2O6(OH,F)と(H2O,Ba,Ce)2(Nb,Ti)2O6(H2O)の化学式で表され、現行のパイロクロア超族の分類定義に依れば、後者はhydropyrochloreの空孔が少なくBaに富む変種であるが、前者に相当する鉱物種は無いので、新種として定義されるべきものになるただし、パイロクロア超族の命名基準が確立されているので、必然的に”hydroxylkenopyrochlore”と呼ばれることになる。結晶構造解析の結果は、それぞれhydrokenoelsmoreite [□2W6+2O6(H2O)]とHydropyrochloreの既報の解析結果と調和的である。