抄録
機械学習の手法を用いて、含水メルトの非理想性を記述する式とパラメーターの決定を行った。 離散的かつ温度・圧力・組成の幅が限られる実験データから広い条件に適用できる式とパラメーターを決定する必要があるため、クロスバリデーション法(交差検証法)を用いた。クロスバリデーション法とは、データセットを2分割し一方を使用してパラメーター決定を行い、もう一方を用いて式の妥当性(汎化性能)の検証を行う手法である。汎化性能を基準として未知データの再現性を評価することで、広い条件を再現する能力を持つ式を客観的に選択することできる。 マントルかんらん岩や玄武岩の融解実験のコンパイルを行い、教師データとした。想定される係数の組み合わせ全種について汎化性能を比較して最も妥当性の高い係数の組み合わせを選ぶことで、モデル式を選択した。特にH2Oに関係するパラメーターに関しては高次の項も想定して検証を行った。 決定されたモデルを用いてフォワード計算を行った結果、新しいモデルは実験的に求められた含水メルトとオリビンの相平衡を良く再現した。