抄録
水晶のx型日本式双晶の成長履歴をカソードルミネッセンスおよびEBSDにより観察した。試料には宮崎県オシガハエおよび群馬県三岩岳産のx型日本式双晶を用いた。その結果、いずれの試料も、中心部はほぼ1点から成長した単一の貫入双晶であり、1本の水晶に対して2つの双晶が偶然同時に生じた3連双晶ではないことが判明した。形態が2本の直線的な水晶の交差にならない理由は、接合面の種類による成長速度の異方性のためである。{11-22}接合面に平行な方向は、垂直方向よりも成長が早く、その理由は、この接合面のみが日本式双晶において原子の結合が整合的に保たれる接合面だからである。