抄録
隕石研磨片を水平面内で回転させてX線回折を行うと粉末X線パターンと整合的なランダム回折パターンが得られる。この方法は組織解析にフィードバックでき、同一種内の微小な差異を認識するのに有用である。最も変成の低い試料の変成前の特徴を明らかにすることも可能である。本研究でのCO3コンドライト測定の新たな知見は以下である。
(1) CO3コンドライトのかんらん石130のピーク解析によりALH-77307のアモルファスの量は約15%、また、Y-81020は約9%になる。Alexander et al. (2017)はALH-77307の20%と評価しているので個体内変動を加味すると整合的である。
(2) ALH-77307のみにマルテンサイトが存在しないことから、マルテンサイトはアモルファスより変成に弱い。
(3) かんらん石130の強度比をモード比に置き換えるモデル化を行い、観察結果やこれまでの結果(例えば、Schwinger et al., 2016)の熱史と整合的な結果を得た。