抄録
ICDP-IODP364次航海により、6600万年前に形成されたチクシュルーブ・クレーターのピークリング直上での海底堀削が初めて行われた。海底下深度505.7−1334.7mのコア試料からは、インパクト後の堆積物(主に炭酸塩岩)、617.3–747.0mからは、インパクタイト(Suevite及び衝撃メルト角礫岩)、747.0–1334.7mからは、ピークリングを形成する花崗岩類が回収された。本講演者を中心とするチームは、(1)基盤岩の衝撃圧力分布測定、(2)インパクタイト及び基盤岩の変形・溶融組織、(3)ケイ酸塩高圧相の探索、を通じて、ピークリング・クレーターの形成プロセスに関してより詳細な知見を得ることを目標とする。本講演では、堀削試料の概要を紹介する共に、衝撃断層脈の電子顕微鏡観察結果についても報告の予定である。