抄録
クロミタイトの特徴の1つにクロマイト中の固体包有物の存在がある。直径100μ程度の球~楕円体状である。クロマイト粒子中にランダム~同心球状に配列される。主要構成鉱物はパーガス閃石,フロゴパイト(特にアスピドライト),輝石類であり,地殻中の層状クロミタイトおよびマントル中のポディフォーム(ポッド状)クロミタイト双方に認められる。この包有物は謎に満ちている。従来クロマイト形成と同時にトラップされたマグマ滴であると解釈されて来たが,大きな疑問が残る。他の例を参照にその成因を再検討する。特に,交代作用によりクロマイト形成後に二次的にトラップされたものである可能性を提唱する。