抄録
東南極リュツォ・ホルム岩体南西部で採集された変火成岩に対して全岩化学組成分析とジルコンU–Pb年代測定を行ったところ、約18億年前(古原生代)に火山弧火成作用が広域的に生じたことがわかった。LHCの火成年代として約25億年前(新始生代)と約10~8.5億年前(新原生代初期)が報告されており、岩体が3回の火山弧火成作用を経て形成されたことがわかる。そしてLHCは、火成年代や岩相の分布と、地球物理学的データを組み合わせることで、1) LHC北部(約10億年前に形成されたジュブナイルな火山弧)、2) LHC中部(約18億年前や約10億年前に形成された火山弧のブロックを含むスプラクラスタルユニット)、3) LHC南部(約25億年前に形成された微小大陸)、の3ユニットに分けることができる。ここでLHC中部は、LHC北部とLHC南部の衝突によって形成された縫合帯であると推定される。そしてLHC北部は、火成年代及び同位体データの類似性や、ゴンドワナ大陸の復元モデルから、スリランカのヴィジャヤン岩体と対比することができる。従ってこれらは単一の岩体を構成していたと考えられる。