抄録
現在,我々は同一のメルト包有物から多元素・多同位体比の情報を得ることにより,地球内部の物質循環を解明する研究を進めている.この研究の一環で,南太平洋のクック・オーストラル諸島にあるラロトンガ島の玄武岩中のカンラン石メルト包有物の鉛同位体比を高精度に局所分析したので,ここに予察的な結果を報告する.分析は,フェムト秒レーザーを用いたレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)によって行われた.この分析法では,濃度<10 ppmという鉛濃度の低い試料の鉛同位体比を,クレーター径・深度約30 μmで高精度に分析することが可能である.このため,同一のメルト包有物から更に主要元素や微量元素の分析を行うことが可能である.