岡山県高梁市布賀鉱山からはCaO-B2O3-H2O系鉱物が多数報告されている.これまでの研究から,初生の鉱物は無水のカルシウムホウ酸塩鉱物であり,その後の熱水活動により種々の含水のホウ酸塩鉱物が生成したとされている.そこでこれらCaO-B2O3-H2O系鉱物およびスカルンの形成に関係した岩石として石灰岩,結晶質石灰岩,石英モンゾニ岩のホウ素同位体組成(δ11B値),および岩石に関してはホウ素含有量を分析した.分析はICP-MS を用いて2通りの方法で行った.分析の結果,初生鉱物のtakedaite, shimazakiiteのホウ素同位体組成は-10‰程度であり,これら鉱物の後期熱水作用により生成したとされるnifontovite, frolovite uralborite, olshanskyite, pentahydroboriteのδ11B値は,takedaite, shimazakiiteに比べ低い値を示し,鉱物の含水量によって次第に減少する傾向を示した.また,石灰岩と結晶質石灰岩中のホウ素含有量は,0.2~10ppm程度含まれているが,結晶質石灰岩の方が若干多く含まれている.