サハリン南部の複数箇所から、シリカクラスレート鉱物であるメラノフロジャイトと千葉石の仮晶、および未変質のメラノフロジャイトを見いだした。Nevelskでは、中新世の頁岩中にパイプ状~脈状の石灰コンクリーションが点在し、その中の化学合成群集化石に伴ってメラノフロジャイトの100 μmほどの微細結晶集合体が産出する。Nevelskの南方約50 kmのKuznetsova(旧宗仁岬)周辺では、火山砕屑物を主体とする中新世の地層中に、直径100m前後の小さな火山岩体が数個分布しており、そのうち2つの岩体からメラノフロジャイトの仮晶が見いだされた。また、国立科学博物館所蔵の戦前のサハリン産鉱物標本の中からも、千葉石やメラノフロジャイトの仮晶と思われる試料を複数確認した。今のところ、現地では千葉石の仮晶は見いだせていない。