日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2017年年会
セッションID: R1-P13
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R1:鉱物記載・分析評価
鹿児島県山ヶ野(永野)鉱山下流産棒状「砂金」について
*田中 崇裕浜根 大輔
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抄録
山ヶ野鉱山の下流に位置する穴川から得られた重砂中に,いわゆる「砂金」として金色を呈する棒状結晶が発見されたので,その鉱物相・成因について考察する.金色を呈する棒状結晶は,最大500μm程度の六角柱状結晶である.SEM-EDX及び微小部X線回による検討ではAg3Hg-Au3Hg相(= luanheite-weishanite)に一致する.ただし結晶の一部はAu4Hg相に該当する可能性もあり,その詳細を現在検討中である.重砂から見出される水銀の付着していない砂金はいわゆるエレクトラムであり,山ヶ野鉱山から供給された現地性の自然金と推察される.山ヶ野鉱山は精錬方法としてアマルガム法を用いた時期がかつてあり,重砂中に見出される水銀は人の手により持ち込まれたものと推測される.棒状砂金は自然金と人為起源の液体水銀が重砂と共に同じ場所に留まり,それらが反応して生成したものと考えられる.そのため棒状砂金は鉱物の定義からは外れる物質であろう.しかしながら,原物質がどうであれ,産出に至るプロセスには天然の比重選別が大きな役割を果たしており,これもまた自然が生み出した物質であることに違いない.
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