抄録
本研究では不均一性な天然炭質物の結晶構造を評価するために、空気中での炭質物の酸化を利用した結晶構造評価を行った。炭質物やグラファイトの燃焼キネティクスは、温度・酸素分圧・比表面積に強く依存しており、酸素分圧一定では炭質物の結晶構造に相関性があることが推測される。本研究では、あらかじめc軸方向の大きさを決定した試料を用いて示差熱分析を実施した。その結果452℃~918℃まで連続的に放熱ピークがシフトすることを見出した。この放熱ピークとLc(002)を比較すると以下の式にフィッティングすることができた。
Lc(002) = 0.0049exp(0.017Tex), R2 = 0.92
結晶子サイズと放熱ピークは指数関数的な高い相関性を有しており、放熱ピークから岩石中に含まれる炭質物の結晶子サイズを推定できる可能性がある。さらに複数の放熱ピークから構成されている炭質物は、熱重量分析と組み合わせることでそれぞれの結晶子ごとの重量%を導くことができるようになった。今後異なる昇温レートにて実験を実施し、それぞれの酸化速度の温度依存性からも炭質物の結晶構造を議論する。