抄録
氷は水分子の電気双極子モーメントが大きく、誘電率などその電気的物性が盛んに調べられている。強い外部電場を加えることによる水分子配向の電場方向への秩序化もよく議論されるが、常圧氷での研究ではこの秩序化の直接的な証拠を示す報告はない。これは、常圧氷における水分子の回転のしずらさに起因すると考えられる。氷VII相は、他の氷の多形と異なり分子回転が起きやすいため,安定な秩序相氷VIII相を有する無秩序相である。本研究では、氷高圧相の氷VII相に高電場を印加しながらその電場方向への秩序化を中性子回折で測定することを試みた。