日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: S2-02
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S2:岩石—水相互作用(スペシャルセッション)
エチオピアのリストヴェナイトのマグネサイト中の塩水包有物: 海水による蛇紋岩の炭酸塩岩化作用
*川本 竜彦辻森 樹進士 優朱輝ソフィア アヤノ
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抄録
蛇紋岩体中に炭酸塩岩化した部分が存在することがある。主な構成鉱物は炭酸塩鉱物、滑石、石英で、岩石名リストヴェナイトと呼ばれる。Sophiaたち(2017 IGR) は、エチオピア西部の新原生代の変成堆積岩に伴う蛇紋岩とリストヴェナイトを報告し、付加体中の超苦鉄質岩体が広域変成作用を被る前に、炭素を含む熱水流入により炭酸塩岩化したと提案した。そのマグネサイト中には気相と液相からなるprimaryな流体包有物が多く存在する。顕微ラマン分光法により、流体相は塩水と同定した。さらに、マイクロサーモメトリー法と呼ばれる顕微鏡下で加熱冷却ステージを用いて流体包有物中の氷の融解温度を決定する手法で、流体中の塩濃度を推定し(2.3% NaCl)、気相と液相の均質化温度を209℃と求めた。その結果、蛇紋岩と海水が反応し炭酸塩岩化する仮説を提案する。海水程度の炭素含有量を持つ熱水と反応し、蛇紋石がマグネサイトと滑石、さらに滑石がマグネサイトと石英になりうる(Falk & Kelemen 2015 GCA)。付加体に取り込まれた蛇紋岩が210℃程度の条件で、海水起源の熱水と反応し炭酸塩岩化したと推定できる。
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© 2018 日本鉱物科学会
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