日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: S2-05
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S2:岩石—水相互作用(スペシャルセッション)
吸水反応における反応誘起応力の反応速度・変形速度依存性:MgO- H2O系における実験的研究
*笠原 久夢宇野 正起岡本 敦土屋 範芳
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抄録

蛇紋岩化作用などの吸水反応において熱力学的に予測される応力は、岩石の引張強度を大きく超える(Kelemen and Hirth, 2012)。一方、天然では、同じ体積膨張反応にもかかわらず、岩石破壊を伴うものと伴わないものの両方が確認されている。こうした極端な力学応答の違いは、熱力学的平衡論では説明できない。以上より、本研究では、吸水反応に伴う反応誘起応力の直接測定及び速度論的な支配要因の解明を目的として実験を行った。反応誘起応力の最大値は40 ~ 65 MPaに達し、最大応力到達時間は温度上昇に伴い短縮した。応力-時間曲線では、低温側で観察されなかった応力緩和が、高温側で観察された。同試料に対して、反応速度と変形速度の温度依存性を測定した結果、反応速度と変形速度の大小関係が入れ替わることが分かった。従って、反応誘起応力は反応速度と変形速度のバランスにより決定すると考えられる。このような反応誘起応力の反応速度・変形速度依存性を定量的に理解するため、本発表では、温度と粒径を変化させて応力-時間曲線を観察した。以上の結果から、反応誘起応力に対する反応速度及び変形速度の依存性について議論する。

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