2015年噴火口と近接した場所で掘削された大涌谷52号井の深度10mから470mまで10mおきに採取されたカッティング試料の解析を行い,地下の変質鉱物の分布を明らかにするとともに,2015年噴火の噴出物との関係を考察した.深度100m以浅のA層は白色を帯びミョウバンや石膏を多く含み,石英を含まないことから比較的低温の酸性変質帯と考えられる.B層(深度100m~360m)は,ミョウバン産出せず石英やが産出するのが特徴であり,比較的低温の中性変質帯である.一方,C層(深度360m~430m),D層(深度430m~470m),E層(深度4470m以深)は緑色を帯びて粘土鉱物としてスメクタイトと緑泥石,イライトを含むことから中性のやや高温の変質帯と考えられる.一方,2015年の噴出物には石膏・ミョウバン・黄鉄鉱を主体として石英が含まれていないことが特徴であり,噴出物は深度100m以浅のA層に由来することが示唆される.