日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: S2-07
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S2:岩石—水相互作用(スペシャルセッション)
超臨界における玄武岩の熱水変成反応プロセスと物質移動
*根津 勇介岡本 敦平野 伸夫宇野 正起土屋 範芳
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抄録

本研究では、超臨界条件下における玄武岩と斑レイ岩の流通式反応実験を行い、物質移動と反応プロセスを明らかにすることを目的とする。実験試料は中央海嶺玄武岩と斑レイ岩を用い、反応流体は純水および、玄武岩溶解溶液を用いた。実験は400 ℃、35 MPaの超臨界点付近の温度圧力条件で行った。玄武岩実験では、上流部分ではAn80の斜長石のNa成分が溶脱しAn95以上の組成を持つ多孔質の斜長石及びグロッシュラーが生成した。斑レイ岩実験では、下流に黒雲母の生成が少量見られた。溶液組成を基にした主成分分析と溶存種の化学平衡解析から、玄武岩システムにおいては、実験初期にガラスの溶脱がおこり、斜長石の溶解及びCa斜長石およびCaザクロ石の析出が起こったことが示唆される。一方、同様の全岩化学組成であっても、斑レイ岩は玄武岩にくらべ反応が顕著におそい。すなわち、玄武岩質地殻における超臨界の流通系において、進行する主な反応が、鉱物やガラスの反応速度の違いとそれによるpH変化よって、時間的、空間的に大きく変化することが示唆される。

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