日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2018年年会
セッションID: R8-07
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R8:変成岩とテクトニクス
中央ネパール・高ヒマラヤ片麻岩中のザクロ石に包有される含電気石ナノ花崗岩包有物の意義
*河上 哲生酒井 治孝佐藤 活志門田 康弘
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抄録
中央ネパールMarsyangdi川沿いの高ヒマラヤ片麻岩中のザクロ石の包有物として、電気石を含むナノ花崗岩包有物を見出した。ザクロ石は融食形を示し、CaとPによる不連続な組成ゾーニングによって認識できる<100μm厚のリムが発達する。ナノ花崗岩包有物は直径約100μmの大きなものが少数と、10μm程度のものが多数、ザクロ石コア全域にわたって包有される。直径100μm程度の大きなものは、黒雲母+電気石+緑泥石+斜長石+石英、および、黒雲母+斜長石+石英の鉱物組合せを示した。一方、数10μm程度の小さなものは黒雲母+白雲母±緑泥石+石英、黒雲母+斜長石±石英±燐灰石、白雲母+緑泥石+石英、黒雲母+石英、などの鉱物組合せであった。ナノ花崗岩包有物中の電気石の存在は、メルトが高濃度のBを含んでいたことの証拠である。角閃岩相以上の変成岩中では、Bは白雲母と電気石に濃集するから、ザクロ石コアを形成した非調和融解反応では、白雲母または電気石(+石英±黒雲母)が分解し、含Bメルト+ザクロ石を生成したと考えられる。こうしたメルトが集積・移動することで高ヒマラヤ優白質花崗岩類が形成された可能性がある。
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