抄録
江津地域に分布する青色片岩の組織と構成鉱物の組成累帯構造より,昇温期,ピーク,降温期の3ステージが区別できる.P-Tシュードセクションにより,ピーク変成ステージのフェンジャイトのSi及び緑泥石のXMgを用いて,475-500℃,14-16 kbarの変成条件が得られた.ピーク変成ステージの後は,その鉱物組み合わせを保ったまま,ほぼ等温での減圧を経て緑泥石,緑れん石,フェンジャイト,カリ長石,曹長石,ホルンブレンドの組み合わせが示す380-480 ℃,4-7 kbarの条件に達したと推定される.周防帯に属する江津地域の緑れん石青色片岩は,中国北東部に分布するHeilongjiang(黒竜江)Complexの高圧型変成岩と岩相,変成P-T条件,変成年代から対比される.